2018年12月19日に東証マザーズに上場したKudanが昨日、MSワラントで約50億円資金調達すると発表。本年5月8日に下方修正(通期業績予想と実績値の差異に関するお知らせ)を発表した12日後の調達発表。下方修正前にかなり下げ、その後株価が戻していたこともあったか。修正後の株価を織り込んだ上での慎重な調達なのかもしれない。
さて、50億円も調達する同社であるが、2020年3月期の売上高はわずか4.5億円、経常赤字である。このような会社が50億円も調達できてしまうからIPOは凄い。IPOしたい会社は増加するわけだ。上場前後に成長しているのであれば問題はない。
《2020年5月8日の下方修正》
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
前回発表予想
(2020/2/7) |
650 |
213 |
213 |
213 |
実績値 |
456 |
9 |
△12 |
△29 |
増減額 |
△194 |
△204 |
△225 |
△242 |
《上場前後の業績推移》 (単位:百万円)
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2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
売上高 |
88 |
204 |
376 |
456 |
営業利益 |
△73 |
△3 |
123 |
9 |
経常利益 |
△90 |
4 |
103 |
△12 |
当期純利益 |
△92 |
3 |
103 |
△29 |
2018年12月19日に上場した同社の初値は、公募価格の3.7倍にもなったことから、初値時価総額は1000億円近くになった経緯がある。これは、上場後の2回目の決算が赤字となることを想定されていなかったであろう。すなわち、上場時も上場後も株価は高すぎると言える。同社にとっては株高は歓迎すべきこと。実際に今回この株高を利用して資金調達ができた。2020年3月期の現預金5億円弱の同社にとっては必要な資金かもしれない。しかし、資金使途のほとんどがM&A資金となっており、開発資金には見えにくい。提携している米企業は売上高はほとんどなく、技術志向での提携のようでもあるが、今後調達資金で売上高を作りに行くようであるとさらに売られるであろう。なお、ワラントの引受先は外資系証券とのこと。
やはり、ここまで売上高が少ない会社が上場すると、このようなことにはなる。